放射能  キュリー夫妻の愛と業績の予期せぬ影響

放射能 キュリー夫妻の愛と業績の予期せぬ影響

  • 作者: ローレンレドニス,Lauren Redniss,徳永旻
  • 出版社/メーカー: 国書刊行会
  • 発売日: 2013/11/21
  • メディア: 大型本
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 このような本にはめったにお目にかかれないだろう。おそらく、書店では美術書あたりに並べられると思う。そう、美術本として見応えがある。だけど、同時に一級の科学書でもある。

 ただ、それだけではない。マリー・キュリーという偉大な科学者が、夫ピエールとともになにをなしとげてきたか、ピエール死後の彼女の恋愛(ちなみに不倫)を省かずに、彼女の一生を描く。美術本でありながら、一代記。さらに、科学者という中で超マイノリティーだったマリー・キュリーの話もある。理系女性応援本としても役に立つだろう。

 美術・科学・女性参画のすべての要素を不自然なく兼ね備えている本はそうそうないはず。

 そして、「放射能」をタイトルにしているだけもあり、スリーマイルやチェルノブイリの原発事故への言及も忘れない。

 「サイエンスとアート」の安易な組み合わせで、細胞などのそのままの写真を出して「美しいでしょう、美的でしょう」と押しつける、最近のサイエンスコミュニケーションの風潮には私はしつこく(?)文句を言っているが、本書はそれと一線を画す作品だ。ローレン・レドニスの才に感服する。

 しかし、価格が高いですね……。美術本だと思えば仕方ないのですが。